133/365 道と器

歩いて3分もかからない私の実家に、
ちびこは毎日通います。

父が死ぬまではそうでもなかったのだけど、、、、

 

お坊さんが言っていた「道」の話。

死んだ人はお釈迦様の弟子になるのだと。

死んでも修行は続く。現世で終わりではないのだと。

33回忌を迎えるその日まで。

生まれるのも一人、死ぬのも一人。

だからこそ、現世で触れあう人が、

故人を忘れないということが、

あの世で新たな修行をする人にとって支えになるのだと。

 

おりしも映画「リメンバーミー」を観たタイミングで、

おじいちゃんが死んでしまう場面を見たわけですから、

ちびこ、

親が思うよりずっとずっと、いろんな思いをしたのだと思う。

 

毎日毎日、学校が終わると必ず実家によって

手を合わせるのです。

 

ばあちゃんのことも気になってると思う。

祖母から可愛がられて育った長女より、

(私に似たせいか)私の母から怒られることが多かったのに、

毎日毎日、祖母のそばにいます。

もしかしたら無意識にわたしの思いもくんでいるのかもしれず。

 

気づかなければそのままだったけど、

みんな気づいていました。

弟もお嫁ちゃんも。ちびこ、皆勤賞だね、と。

母はきっと気づいてなかったけどね。

 

父の死はみんなをつないでいる。

それが故人の願いだと思いました。

 

「道」と言えば、最近思うのです。

「道」を歩く人生と、「器」である人生のことを。

 

小さいころから、書道や合気道に親しんできたので、

道のことはうっすら感じているつもりです。

が、いかんせん健全な自尊心を育ててこれなかった私は、

道を歩くことが寂しくてたまらない。

かといって資質はないわけではないのです。

きわめてあきらめが悪く、しつこく追い求める。

もう少し育ってきた過程で満たされるものがあれば、

道の方向へギモンなく向かえたでしょうに。

 

根本的に寂しいのです。

でもそれに自分がおぼれることも許せない。

許せないというよりも。

否定形は何も生まないことを知っているから、

違う形で昇華することを選択している。

 

だから「器」であることを模索するのです。

場をつくる。感じたものを形にする。

しかもそこで自分が楽しむのではない。

自分と同じような誰かが、活きる場所を生み出す。

いやもはや、だれかと誰かがつながればそれでいい。

そのことを少しずつ少しずつ、できるようになりたい。

そんな風に歩き出している自分のこと、

いまさらながら気づく。

 

なんて話を、できる相手が一人だけいるのです。

同じ町内の少しだけ年上の女性です。

 

彼女は言いました。

ならばあなたは、

もう少し時間の使い方を覚えなくちゃいけないね。

どうしたらもっと良くなるか、振り返りをしている?

 

器になると決めたなら、

同じことを何度もしないように。

もっともっとたくさんの人を喜ばせられるように。

そのためにできることを私があなたに伝えます。

それによってどんなふうに現実が変わっていくか、

一緒に実験しよう。

まずは手帳術から。

その活用法を徹底的に教えます、と。

今のあなたのままでは、たどり着けない。

体を壊すだけ。

だから「方法」を、「足りてないところ」を教えます、と。

 

おそらくADHDな人間に健常のひとが見るに見かねて。

それでもあなたの持っている何かは、

この世界に絶対に生かしたほうが良い、と。

あなたの在りようは、うらやましいと思う部分がある、と。

 

そうですね、でもわたしにとっても、

のどから手が出るほど欲しかったものをあなたは持っている。

でも、そんな違いも超えて循環する何か。

信頼。

 

 

で。

素粒子ってわかる?と彼女が。

スピリチュアルは一切信じないけど、

魂が素粒子ならば、納得がいく。

そういう意味ではあなたの亡くなったお父さんは

あなたの近くにいて見守っていると思いますよ、と。

あなただけでなく、ご家族みんなのことを。

 

誰に慰めの言葉を言われても、つい冷静にふるまう私も、

いつも厳しい彼女から言われると、遠い目になっちゃう。

 

 

婦人会の総会のあと、お互い5分で家につくのに、

そんな話を3時間弱。

忙しい人なのに時間を割いてくれたことに気づき、

なんだか安心してしまって、

家に帰ると急にコンコンと眠った。

ちびこが帰るまで。

 

 

そして帰ってきたちびこは、また、おばあちゃんちへ。

 

ありがとう。

ちいさな愛の姿が、こんなにも何か支えになるとはね。

 

ちびこさん、

わたしはあなたが好きだよ。

わたし、あなたが好きだ。

 

 

そしてそんな先輩の存在。

彼女の夢がかなうように、

出来る限りのことをしたいと思うのでした。

きっと彼女はそんなこと望んでないと思うのだけど。

それより私の成長を望んでいるのかな。

まずはそこから、だね。

 

なんか変だけど、

わたしの楽しいって切なさが混じっているみたいだ。